3次π型・T型LPF計算

必要な減衰量が比較的小さめ(30~40db程度)でよいときは このフィルターが良く用いられます。製作も比較的容易です。 QはT型の場合'5'程度、π型の場合'1'程度が良いでしょう。
Qを上げすぎると減衰域の立ち上がりは良くなりますが、通過域でのロスも増えてきます。 通過電力によるコンデンサーの耐圧もチェックできるようになっています。 電力が大きい場合はπ型の方が耐圧的に有利です。

設計するデーターを下のフォームに入力

Zo :入出力インピーダンス
Ω
fc :遮断周波数(MHz)
MHz
Po :通過電力(W)
W
Q1 :T型LPFのQ

Q2 :π型LPFのQ



T型LPF
C1:PF  L1:nH  コンデンサーの耐圧(V)V以上

π型LPF(定K型の場合)
C1:PF  L1:nH  コンデンサーの耐圧(V)V以上
π型LPF(λ/4型の場合)
C1:PF  L1:nH 

※定K型とλ/4型の特性違いについては下記を参照して下さい。
(Last Update 2005/01/29)


計算結果を他のプログラム(空芯コイル設計やLC同調回路など)に採用したいときは、 Windowsの「コピー」「貼り付け」を利用して下さい。また、ブラウザの「戻る」「進む」を 利用すると計算結果のデーターは消えません。

π型LPFのプログラムについて

今までに、幾度か閲覧者の方からご指示がありました「π型LPFの計算結果に2倍の差がある」等の 問題に付いて説明致します。

【問題点】
このプログラムのπ型LPFに条件数値を入れて計算をすると、L1の値はある文献に基づいた計算値の2倍の値となる。

【説明】
実はこの定K型LPFの式には2種類有ることを確認しています。 実際問題として2種類とも正しいのかどちらかが間違っているのかは不明です。 計算式において参考にしている文献はいくつかあるのですが、 私の採用した文献は、CQ出版社「高周波回路設計ノウハウ」吉田武著 CQ出版社「LCフィルタの設計&製作」森栄二著 及びCQ出版社「パワーモジュール活用のすべて」です。 上記3文献以外にも製作例として計算式が合致するものはたくさんあります。 上記文献に共通するLの算出式は、L=Zo/πfc となっています。 ところが、その他の文献では、L=Zo/2πfc となっている為、L値に2倍の差が 生じてしまっています。 両者の違いは2次の定K型フィルタを組み合わせて3次とする時に、その中間点での Zo値をどう考えるかに差が有るようです。 前者文献ではZo値の変化は、In→中間→Outで、Zo→Zo→Zo となっており 入出力を同じZo値とした2次定K型の積み重ねとしているのに対し、 後者文献ではZo→Zo/2→Zo と中間点を1/2としたインピーダンスで結合しています。 (ただし、T型の場合は何故か両文献で一致している) 尚、T型の場合はZo→2Zo→Zo という風になっています。 両文献とも実測値例もあり、どちらを採用しても同じ結果が得られるのでは無いかと想像しています。 細かな比較特性や理論に関しては、私にはわかりませんが、実際問題としてネット上に存在する計算式は 圧倒的に後者の式が多いように見受けられます。

この件について、さらに詳しい情報をお持ちの方は、是非ご連絡下さい。
また、この件に関して今までに当方へご意見・ご質問下さった皆様、ありがとうございました。

※追記:
後日、I-Laboratory 様のWeb計算Tool Maximally Flat LPF CalculatorType1にて、 同様の3次LPFを計算してみましたが、当ページと同じ結果が得られました。ただし、「T型LPF」の場合はの値を 「」とした場合に一致します。

April 23, 2004

π型LPFのプログラムについて解説をいただきました。

上記について、フィルターについて詳しい磯野氏より親切な解説をいただきました。 また、同時に私の見解違いも指摘されていますので、ご紹介致します。
尚、文面公開について磯野氏より快諾をいただきました。
あらためて、この場を借りてお礼申し上げます。

LPFの定数で疑問をお持ちのようですが結論から言うとQ=1の時の計算値はT,πとも合っています。 定KというからにはQ?=1でT型の場合XL=50が2個、XC=25Ωが一個です。 πではXC=50が2個、XL=100Ωが一個です。
おっしゃるように定K、π型T型の定数をXC=50,XL=50と紹介しているのを何度も見た事が有ります。 その定数でもLPFにはなりますが定Kではありません。しかしその定数の回路はλ/4回路といわれよく使われます。 伝送線路長λ/4と等価な動作をする為です。
身近なところではPINダイオードを使ったTX,RXのANT切り替え回路が有ります。 λ/4と等価という事で出力が開放されると入力側から見たZが0になり逆に短絡されると∞になります。 集中定数によるウイルキンソンブリッジにも使われます。
3次に限っていえば定K LPFはバタワース(最大平坦)型と一致します。 アマチュア周波数146MHzがデフォルトで入っていますが定Kではその周波数でー3dBも有る事にご注意ください。 逆にλ/4回路では146MHzがピークで損失0です。

※指定周波数での定K(写真上)とλ/4回路(写真下)との特性違いがわかるシミュレーション結果もいただきました。

磯野氏は色々なフィルタの計算が出来る「フィルタ設計ソフト」の公開もされています。ホームページを是非ごらんください。
「LCフィルタ、アクティブフィルタ設計ソフトの isonolab」


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